ある日森の中で熊に追いかけられたとしたら…きっとびっくりしますよね。視覚で確認した熊の情報は脳の扁桃体と呼ばれる場所を興奮させます。扁桃体は脳の様々な脳の場所と接続しています。身体に受ける他の情報も参考にして、今何が起こったか、身体にどんな反応が必要かを瞬時に判断して実行します。逃げるもしくは戦うために必要な身体の体制を作ります。血圧が上がり筋肉に血液が入りやすくなります。怪我をしても大量の血液を失わないように末梢の血流を中枢に移動させます。酸素が取り込みやすいように肺の気管支も広がります。目が見やすいように瞳孔も開きます。
この時には痛みは感じにくくなります。なぜなら痛みに気がとられてしまうと死んでしまうかもしれないからです。一次的に痛みを感じないように身体を調整します。
一方で安心できる環境でゴロゴロしている時を思い出して下さい。心臓も穏やかに拍動し、交感神経が抑制され身体の隅々に血液が運ばれます。ポカポカしていい気分かもしれません。また、血液を消化管に移して食べ物を消化しエネルギーを蓄える働きが促されます。身体を休め、回復させるための反応が起こります。またセロトニンなどの物質が脳から投射され痛みも感じにくくなります。
さて、どちらの反応でも鎮痛は起こります。しかし、どちらが長く痛みに悩む方に必要な環境なのでしょうか。強い刺激を身体に加える時の事を考えてみて下さい。しばらくの間の鎮痛を望むのであれば、熊に襲われそうにならなくとも、強い刺激を体の表面に入力すれば痛みは減ると思います。
しかし、長期的に痛みや体調を改善させること、アプローチの後も脳の痛みの回路を強化し、痛みに過敏な状況を作りたくないと考えるのなら後者を選ぶべきです。少なくとも、私の両親には痛みを慢性化させる機会を少しでも避けて欲しいので違和感がある時には穏やかなアプローチを選ぶようにすすめています。
つまり根本的に身体から痛みを減らそうと考えるなら、身体に入力する刺激はいつでも「痛くない」「穏やか」であることが必須条件だと思います。
脳を含む神経系にフォーカスした徒手療法、DNM
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